【知らないと後悔】屋根塗装できないケースとは?
目次
はじめに
屋根は住まいのなかでも特に過酷な環境にさらされています。
見た目はきれいでも、実は「塗装ができない」状態になっているケースもあります。
この記事では、塗装できない理由と見分け方をわかりやすく解説し、
「カバー工法」など他の選択肢も含めて安心して判断できるようお伝えします。

屋根の素材によっても「塗装できる・できない」が変わります
かつて主流だったスレート屋根材は、製造時期によって大きく特性が変化しました。1990年代後半からはアスベストが使われなくなり、いわゆる「ノンアスベスト屋根材」が登場しました。
しかし、急いで製造されたため「耐久性に課題があるもの」が出回った経緯があります。
特に1996年~2008年ごろに使用された「ノンアスベスト化移行期」の屋根材は、層間剥離や割れなどの劣化が多く報告されています。
そのため、塗装でメンテナンスしても十分に耐久性を保てないケースがあり、カバー工法(重ね葺き)を検討するケースも多くみられます。
なお、2006年9月以降はアスベスト含有材の製造が禁止されましたが、販売や施工に在庫分が使われていたため、2008年前後までは混在期と考えられます。
つまり、塗れるかどうかは築年数だけでなく、屋根材の種類や劣化の進行度によって異なるのです。
塗装で対応可能な場合もあれば、カバー工法を検討すべきケースもあります。
よく見られる劣化のサイン
塗装できる屋根かどうかを判断するうえで、以下のような症状が見られる場合は、 材質や構造、劣化の進行度合いを慎重にチェックすべきサイン です。
アスベストの有無にかかわらず、傷みが顕著で塗装による保護が難しいケースも含まれます。
- ・屋根材に ひび割れ や 大きな欠け が見られる
▶築10年すぎ初めてのメンテナンス|屋根カバー工法で保護|佐倉市江原台 - ・屋根表面に コケ・苔が繁殖 しており、湿気を含んでいる
- ・屋根を歩いたときに「フカフカ」「沈み込む」ような感触がある
▶屋根が抜けそうになるほど柔らかく塗装が不可能だと判断し屋根カバー工法を実施|印西市高花 - ・屋根裏や天井に 染み・雨漏り が発生している
これらの症状が出ており塗装に適さないと診断した場合はカバー工法をおすすめすることがあります。
ただし、症状が軽度であることなど状態によっては塗装で対応可能なケースもあります。
現地調査を行ったうえで適切に判断をいたします。
【専門補足】“ノンアスベスト”でも年代・含有量で性質が異なります
「ノンアスベスト屋根材」とひとくくりにされがちですが、実際には製造年代によってアスベスト(石綿)の含有量・素材特性が段階的に変化しており、塗装可否にも差があります。
アスベストを一部含む時期(1990年代前半〜中盤)に製造されたスレート屋根材は、素材の結合が比較的安定していたため、状態によっては塗装が可能なケースもあります。一方で、完全にアスベストを含まない素材へと移行した1996年~2008年ごろの屋根材では、繊維補強が十分でなく、層状剥離・割れが起きやすい製品も多く流通しています。
そのため、同じ「ノンアスベスト」と言っても、
- 使用されている屋根材のメーカー・製品名
- 劣化の進行度合い
など複合的な判断が必要になります
年代別|アスベスト含有率と屋根の特徴・メンテナンス目安
| 製造時期(目安) | 含有率の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| ~1980年代末頃 | おおよそ 10~25% | 石綿スレートが主流だった時期。剥離・割れリスクが高い。 |
| 1990年代初期~中期 | おおよそ 5~10% | 削減期の屋根用化粧スレート。屋根材・製品名で確認必要。 |
| 2006年9月以降 | 使用禁止対象後/実質的に含有が希少 | 新規製造・使用が禁止 |
含有率は全ての製品に当てはまるわけではありません。
主なノンアスベスト屋根材と主な劣化傾向
| メーカー名 | 製品名(屋根材) | 販売時期(目安) | 主な劣化傾向・特徴 |
|---|---|---|---|
| 旧クボタ/ケイミュー | コロニアルNEO | 約2001年〜2008年頃 | 築10年前後でひび割れ・欠けが発生する例があり、層状剥離も報告されています。劣化の進行度により、塗装では延命が難しい場合があります。 |
| ニチハ | パミール | 約1996年〜2008年 | ミルフィーユ状に層ごと剥がれる「層間剥離」現象が特徴です。劣化が進むと塗装による補修が困難となるケースが多く、カバー工法が推奨されます。 |
| セキスイ/積水化学 | かわらU | 約1990年代〜2000年代中盤(改良型含む) | 割れ・欠け・強度不足などが報告されています。形状の特性上、塗装しても再劣化しやすく、カバーまたは葺き替えを検討することが多い屋根材です。 |



塗装で対応できるケースと、カバー工法が適しているケース
塗装で対応できる可能性があるのは、
- 大きなひび割れ・欠けが少ない状態
- 築年数が浅く、改良ノンアス材が使われていると思われるケースなど
- 下地・防水層(ルーフィング)が健全な状態
逆に、カバー工法(重ね葺き)や葺き替えを検討したほうがよいのは、
- 多数のひび割れ・欠け・剥離が確認されている
- 屋根を踏むと沈む(下地の腐食)など、塗装ができないと判断される状態であること
このように、「塗装かカバーか」の判断は、材質・傷み具合・下地の状態・使用年数など、複数の要素を総合的に見て決める必要があります。
そのため、「塗装できない」「必ずカバー工法にするべき」といった業者の言葉が、必ずしも正しいとは限りません。
実際に現地調査を行い、屋根の状態を確認したうえで判断することが大切です。
一社の意見だけで結論を出さず、複数の専門業者に相談しながら、お住まいの状態に最も適した方法を見つけていくことが大切です。

現地調査でしかわからないことがあります
屋根は、普段の生活のなかで目に入りにくい場所です。
だからこそ、劣化の進行に気づくのが遅れてしまうことも少なくありません。
「塗るべきか、他の方法がより適しているか」
お客様ご自身が納得して選べるよう、正確な情報提供とご提案を心がけています。
まとめ|屋根メンテナンスは“材質・傷み・下地”を見て選びましょう
ノンアスベスト屋根材は、製造年代・環境・劣化具合によって寿命・強度が異なります。
そのため、「塗装できるか/できないか」は屋根材ごとの特性と状態次第」です。
「まだ塗れる」と思っていても、実は長持ちしない素材であったり、塗装が適さないケースもあります。
まずは、現地調査を通じて今の屋根の状態を確認してください。
代表の志田が実際に現地へ伺い、屋根の状態を確認・撮影いたします
点検は無料ですのでどうぞ安心してご相談ください。
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この記事の監修者
志田 雄一郎(しだ ゆういちろう)
ファースト・リフォーム 代表/一級塗装技能士
千葉県佐倉市出身。創業30年、地域密着型の外壁・屋根リフォームを手がける。自社職人による丁寧な施工と、お客様との長いお付き合いを大切にしている。屋根・外壁の点検から補助金対応まで幅広く対応。
